空室対策の鍵は「猫仕様」リノベーションにあり

ペット可の賃貸、特に猫OKの物件といえば、少し前までのイメージは『難あり物件』の空室対策最終手段といったところでした。
しかし近頃は少し事情が変わってきており、賃貸で猫を飼う(飼いたい)人のニーズに応えて『猫仕様=猫共生物件』として市場に出すケースが増えてきています。
室内飼いできて散歩いらず、日中をほぼ寝て過ごす猫は、一人暮らしの人にとってとても飼いやすい動物。
つまり猫OKの賃貸物件は、ペットを飼いたい単身者から高いニーズがあるのです。
ここ数年で増えてきている猫共生物件の中には、空室対策の域を超え、入居待ちさえ発生する人気物件も存在しています。
『難あり』をカバーするだけでなく、人気物件に生まれ変わる可能性を秘めた猫共生物件へのリノベーション。猫との快適な暮らしを提供する、ツボを押さえた猫向きリノベーションのポイントをご説明します。

部屋を傷つける最大要因、爪とぎ

壁紙での爪とぎ対策

爪とぎは猫の本能、ゆえに抑えるのが難しい。ならば爪を研ぎたくなくなるような壁紙に変えてしまいましょう。
爪が引っかからない、つるつるとした材質の壁にしてしまえば猫は爪とぎできません。
猫が後ろ足で伸び上がって届く範囲をカバーできればいいので、全面的に張り替えなくてもOK。
つるつるの腰壁を貼れば傷を防止できます。

猫の爪にも対抗できる網戸

細かい網目は爪を引っ掛けるのにちょうどよく、とぐように前足を動かしたり、そのまま網戸を登り始めたりすることもあります。
網戸に猫が近寄れないように柵などでガードすることもできますが、人間の動線の便を考えるとあまり良い方法ではありません。
ペット用網戸として販売されている、ステンレス製で網目の細かい丈夫な網戸を設置するのがおすすめです。

ドアの傷防止に猫ドア

ドアノブに飛びついてドアを開けてしまう猫は意外と少なくありません。
無理に前足を引っ掛けたりして開けるため、ドアノブが傷ついたり建付けが歪んでしまったりすることもあります。
部屋を余計に傷めないためには予め猫ドアを作っておくのがベストです。

汚れとニオイを防止して原状回復しやすくする

フロアコーティングで汚れや傷を防止

猫の嘔吐対策は猫飼いの大きな悩み。
毛玉を吐いたり一気に食べ過ぎたフードを吐いたりするたびに、吐いた跡やニオイが残らないよう掃除に苦労します。
他にトイレの失敗で床を汚してしまうこともあります。
床に防水性のあるフロアコーティングがされていれば、掃除が簡単で汚れの跡も残りません。
フロアコーティングされた床は傷もつきにくいので、猫が爪で引っ掻いたり高いところから物を落としたりしても、きれいな状態をキープできます。

ペット臭軽減は消臭・調湿・風通しが鍵

部屋にペットの臭いが染み付くと、退去後の原状回復が大変です。
壁紙や建材には、消臭機能のあるものを選びましょう。
また、ニオイの原因となる細菌や微生物の繁殖を抑えるために、調湿機能のある建材も活用して下さい。
さらに各部屋の風通しを良くして全体の換気がしっかり行える間取りにすれば、ペット臭は大幅に軽減できるはずです。

猫も人もストレスのない部屋に

猫が喜ぶ動線を確保

上下運動や高い場所が好きな猫の習性に合わせて、キャットウォークを造り付けましょう。
猫の動線を部屋の中に作れば、上ってほしくない場所から離れるように、ある程度誘導することもできるかもしれません。

意外と大きな猫の足音

上下運動が好きな猫は、室内であろうとお構いなしに高い場所から床に飛び降ります。
また元々夜行性の動物でもあるため、夕方や深夜に思いっきり走り回る大運動会を開催することもしばしば。
このときの足音が意外と大きく響くので、騒音トラブルを防ぐために床の防音対策をしておきましょう。
キャットウォークの周囲だけでも防音フローリングなどにしておくことをおすすめします。

重要ポイント!トイレ置き場

安易な空室対策で「猫OK」にした物件では、居室や廊下などオープンな場所に設置せざるを得ないことがほとんどです。
しかし本来猫は隠れるようにして用を足すことを好みます。
人間にとっても食事をする場所や寛ぎスペースからトイレが見えるのは嫌なもの。
ニオイも気になりますし、人間の動線を制限することにもなりがちです。
猫共生物件にするなら、予め猫ドア付きの扉などで仕切ったトイレ設置スペースを確保しておきましょう。

完全な猫仕様にしてこそ「猫OK」にする意味がある

「立地が悪い」「築年数が古い」「設備が悪い」……こうした悪条件のために空室が多い物件を形だけ「猫OK」にしても、人気物件にはなりません。
オーナー側も入居者側も妥協した末の選択となるため、「猫OK」を物件の付加価値にすることができないのです。
猫を飼う人にアピールしたいなら、物件に「猫と暮らしやすい環境」という新たな魅力をプラスすることを目的にして、リノベーションの計画を立てましょう。
飼い主のニーズにしっかり応える物件にしてこそ、空室知らずの人気物件への可能性が拓けます。
 
著:猫野 千秋

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