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全面コンクリート打ちっぱなしの部屋

本来不可欠であるはずの、塗装などの仕上げ工程を欠き、素材感が強く、無骨な印象を与えるコンクリート打ちっぱなし。日本では安藤忠雄、海外ではル・コルビジェなどの建築家に好まれ、二十世紀を代表する建築スタイルですが、今なお根強い人気を誇っています。今回はそんなコンクリートの打ちっぱなしのお部屋を紹介したいと思います。

先ずご紹介するこちらのお部屋はコーディネートが徹底されています。壁、床、天井が同じトーンで統一されたこの部屋は、ぎっしり並べられた本棚、吊り下がった伝統、ソファー前に敷かれた織物。ストイックでスタイリッシュな印象を人々に与えます。機能性と合理性を徹底的に追求することによって、自分だけの部屋・空間を創造しています。コンクリートの持つ質感のクールさ、乾いた色の印象を、インテリアまで拡大して、組み立てられた部屋です。

木目との組み合わせも! 開放感あふれる部屋!

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場合によっては、クール過ぎて、部屋の安らぎを遠ざけてしまうコンクリート打ちっぱなしスタイルですが、このお部屋の場合は、明るめの色をした木目のフローリングと、光沢と質感のある黒のキッチンを採用することによって、あたたかな雰囲気をもった空間を作り上げています。このお部屋は、元々このように設計されたわけではなく、壁のクロスを剥がしたり、仕切壁の撤去などの工程を経て完成されました。コンクリートそれ自体は無機質で、素材としては主張の少ないものです。打ちっぱなしのスタイルだからこそ採用・表現できるデザインは広大です。コンクリートそれ自体は、現代の建築物に欠かせない材料ですが、打ちっぱなしのようにコンクリートそのものが露出したスタイルは、憧れている・興味をもっている潜在的なユーザーは多いとは言え、製造コスト・廃棄コストの高さに起因する購入価格と賃貸価格の高さから、実際の戸数はまだまだ少ないです。だからこそ、コンクリート打ちっぱなしスタイルは非日常感を演出して、デザイン性の強い家具・機器を、アートのように存在させてくれます。

コンクリートにも色々あります! 組み合わせは無限大!

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こちらは、ソファーと、天井・壁・フローリングを、明るさと質感の異なる同系色で揃え、オレンジ色の一方は単色のファブリックパネル。もう一方は、うねりを表現した動きのあるファブリックパネルを対置することによって、高いデザイン性を表現しています。これも、打ちっぱなしの部屋だからこそできる表現です。コンクリートは、インテリアが最も映える舞台です。そのままでは、無骨で禁欲的な内観を、日常使いの家具を置くことによって、固さが取れ、あたたかみを与えることができます。コンクリート自体は、型枠に流し込むことによって多種多様な造形ができる素材ですが、素材自体は主張のすくないものです。そのカスタマイズ性、控えめさが、インテリアの自由度を格段に引き上げてくれます。

コンクリートだからこそ表現できる清潔感! リビングをクリエイティブに!

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直線を重ねて、リビングをクールな佇まいにしています。コンクリートに、機能的で、シャープなインテリアを導入し、作り込まないことによって、広々とした居住空間を確保しています。モノトーンインテリアの中にも、アクセントで主張の激しすぎない暖色のソファーや机を配置することによって、シンプルで、開放感のあるリビングを提供してくれています。このように、表現様式では無機質でドライなコンクリート打ちっぱなしも、同性質のインテリアを揃えて配置することによって、人間の生活空間・居住空間であることを強く人に意識させ、あたたかみを描き出すことも可能です。

コンクリート打ちっぱなしの可能性は無限大! リノベーションしてみよう!

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今回は、居住空間のデザインに関心の高い方々には非常に人気の、コンクリート打ちっぱなしの部屋をご紹介しました。コンクリート打ちっぱなしの家は、日本でも、数多くのデザイナーズマンションや、デザイナーズ住宅で採用されています。コンクリート打ちっぱなしの、環境的なメリットとして、耐火性、防音性にも優れ、柱を用いないことから広いスペースを確保できるという点があります。デメリットとして、コンクリートは熱伝導性が強く、外の暑さ寒さを室内に伝えてしまい、冷暖房がなければ室内温度を快適に保てません。建物の外側に断熱層をつくれば室内環境は改善されますが、外観で、打ちっぱなしの雰囲気を伝えられません。しかし、なによりもまず表現が豊かで、インテリアの自由度も非常に高く、オリジナルでスタイリッシュな空間を作ることのできるコンクリート打ちっぱなし。コンクリートは、二十世紀初頭から、古い慣習やつながりを打ち破る、工業化社会・産業化社会の象徴として、作家性の強い建築家たちに好まれ、使われてきた素材です。表現方法も、コンクリートそのものの自由度の高さから、国や地域、建築家によってさまざまなものが試みてこられましたし、これからも新しい建築物が作られていくのだと思います。これを機に、皆さんにも、ご検討いただければ幸いです。