出典:https://maxmayo.com/style/style-inspiration-the-mod-culture-fashion/#.WbXypPNJaUl

デザインが世界をつくる

世界のあらゆるモノはデザインされています。
服やアクセサリーといったファッショングッズから、家具、家電製品、CDジャケット、本の表紙、街中の看板やポスターまで。目で見て触れる私たちの身近な世界は、デザインが創り出していると言っても過言ではないでしょう。
 
ビートルズをきっかけに広まったモッズファッションに、アイビールックやパンタロンが流行った60年代。アポロ13号の月面着陸が呼び起こした70年代の宇宙的、未来的なインテリアデザイン。ビビットカラーや幾何学模様が衝撃的なデザインを次々と作り出した80年代。
時代が育んだデザインのトレンドは新陳代謝を繰り返し、いつも世界に新鮮な風を吹き込んできました。
時代が移り変わる中でも普遍的に愛されるデザインが誕生することがあれば、新鮮味が失われ賞味期限を迎えるデザインも存在します。多くの場合、賞味期限を迎えたデザインは、やがて目に見える世界から姿を消していきました。

住宅にもある賞味期限

住宅に関するデザインにも流行り廃りがあります。
インテリアデザインは、ファッションやプロダクトに次いでトレンドの移り変わりが早いもの。当然ながらおしゃれなインテリアの舞台となる建物そのものも、トレンドの波にさらされているのです。
 
ところがこの住宅デザインの新陳代謝には、一つやっかいな特徴があります。
それは、日本の街中で普遍的に愛されるデザインになれなかった建物が、賞味期限を過ぎたあとにも数十年、街並みの中に残り続けていくということ。
 
例えば日本の高度経済成長期以降に建てられた建物は、「経済性優先でデザイン性は二の次」といった物件が多く、特に賞味期限が短いものでした。
街中を見回すとあちこちで見られる味気ないマンションやアパート、新鮮味がとっくに失せた建物が紛れ込む風景を眺めていると、なんだかそこでの暮らしまで退屈で面白みのないもののように思えてきます。
賞味期限切れデザインの鮮度の悪さは、特別トレンドにこだわる人でなくても意外と敏感に感じ取っているものです。
 
「この物件に住んだら、毎日どんな気持ちで過ごすだろう?」賃貸物件を探す人は、そんなことを考えて物件写真を眺めます。真っ先に外観写真が目に入ったとき、その物件に住む喜びを感じられなければ、それだけで敬遠されてしまうことも少なくありません。
他の条件を考慮して妥協の末に借りる人は居ても、家賃や立地などに差がなければ、新鮮味のない物件に好んで住む人は少数派でしょう。特に突出した好条件がなければ、建物まるごと不人気物件になってしまうこともありえます。
 
問題は建物の古さではありません。
建物自体が古くても、リフォームしてフローリングやクロスを張替え設備を新しくすれば、住みやすい物件になります。しかし物件を見た人にここに住んでみたいと思われるには、愛されるデザイン=外観がとても重要なのです。
 

住宅の魅力を蘇らせる「外リノ」

外観リノベーションをすると、賞味期限の切れた住宅に新鮮味を取り戻すことができます。
味気ない退屈な建物を個性的なコンセプトでデザインし直して、洗練された外観に作り変えるのです。
 
新鮮な空気を求めるように、人々は自分を幸せな気分にしてくれるデザインを求めています。
学生向けマンションの遊び心のあるデザインや、非日常感あるホテルライクなデザイン、レトロ感をお洒落に残してヴィンテージ好きにアピールするデザインなど、外観リノベーションではさまざまなアプローチが可能です。
 
どうして空き部屋が埋まらないのか、入居者がすぐに出て行ってしまうのか。不人気物件に悩んでいるのなら、一度物件の前に立って外観をじっくり眺めてみましょう。
オーナーであるあなたが住んでみたいと思える物件でないのなら、外観リノベーション=外リノを考えてみるべきかもしれません。

著:猫野千秋