空き家は大切な社会ストック

一般的にはあまり知られないデーターですが、日本の住宅の稼働率は欧米に比べ、かなり低い率で長年推移しています。実際、住宅の空室率は日本の19%(2013年度)に対しアメリカは6.8%(2015年度)と3倍もの数値になります。つまり日本では多くの空き家が、空室を解消できずに活用されない、または放置されているという現実なんです。さらに平成27年に施行された空き家対策特別措置法により、空き家の所有者の負担が増していくと予測され、ますます日本の住宅所有者の状況は厳しくなるかもしれません。いま一度考えるべきことは、手に余す空き家を放置や取り壊すのではなく、貴重な社会ストックとみなし、有効に活用していくことなのかもしれません。

サスティナブルな住宅対策として

少子化や若者の消費マインド低下、価格の高騰や画一化した商品企画などさまざまな要因により、新築住宅の市場が縮小しています。いっぽう中古住宅もこれまでは、根強い新築神話にくわえ建築物評価の下落の激しさ等が購入の妨げになっていると云われてきました。しかし前述の空き家法により、所有者が手放した、借り手のつかない空き家が大量に流通する可能性があり、それが空き家を有効利用してゆくきっけになるかもしれないと考えられます。そこで行政主導のガイドラインを策定し、良質なリノベーションに対し、有利な融資や補助を実行するなどがあれば、全国の空き家、空室は削減に向かうかもしれませんね。若者にも購入しやすく、売却しやすく。そしてく移住しやすい、「サスティナブルな住宅対策」となるかもしれません。
 

本質的な環境対策にも

現在、日本の産業廃棄物全体の中で建設業の廃棄量が占める割合は20%(2015年・環境省)にのぼります。建材工場、新築現場での廃材はもとより、解体時に廃棄されるコンクリートや設備機械類などの廃棄量は年々伸びる一方です。またその建築資材は地球へ還せるものや再生利用できるものはごく限られていることが大きな現実問題です。建築構造体の対応年数が向上している現在、建築の再利用を促進し、スクラップされる建物が減れば、それだけで大きな環境対策のひとつとなるはずですよね。

めざすのは建築が癒す社会

美術館などの空間が人の心理的、生理的なストレスを低下させるという実験データーが在ります。たしかに古民家や教会など古い建築の空間には、新築にはない趣があり、それがわたしたちの心を癒してくれると感じます。古民家再生がよく話題になりますが、最近では古民家だけでではなく、60年代、70年代に建てられた建築でも、往年を偲ぶ渋い味わいを見出す再生方法を見かけます。若い人たちが古い建物の持つ味わいに気付き、住んでみたいという動機に駆られれば空き家は削減されてゆきます。そして観光で日本を訪れた旅行者は、手を入れ使われ続ける建物に心癒され、いつかまた訪れたい町になる。。。。。古い建築が社会を癒してくれる。素敵です。

小寺 源太郎:株式会社インターデザイン