1. レストランからマンションまで 女性をターゲットにする理由

ホテルのレディースプランやレストラン等の女子会プラン、スポーツ観戦での女性向けサービスに引越し屋さんのレディースプランまで。
「女性は共感力が強く、口コミ効果が期待できるから」「割引やプラスαのサービスに対する反響が大きいから」こんな理由で巷には女性優遇サービスが溢れています。
 
そして賃貸マンションにも、女性をターゲットにした物件が存在します。女性向けサービスを次々繰り出す企業と同じく、女性専用マンションを希望するオーナーはやはり多いのです。
なぜ賃貸のオーナーが女性向け物件にしたがるのか?最も大きな理由は、部屋探しにおける女性特有の価値観にあります。
 
男性はマイホーム購入の際、「書斎が欲しい」「浴室は広くジャグジー付き」など、間取りや設備に強いこだわりを見せます。ところが賃貸となるととにかく立地重視、駅近く、コンビニ徒歩数分など、最優先事項以外は割り切って物件を選ぶ傾向が強いのです。
一方で女性はセキュリティ面での安心感を求める事情もあり、物件選びの条件をそうそう妥協しません。場合によっては予算以上の金銭的負担も厭わないという人が大半です。
優先順位がはっきり「予算<条件」となっているのが、女性の部屋探しの大きな特徴なのです。

「女性が求める条件」に応えるのが女性専用マンション

・立地の安全性
駅からの道のりに街灯がなかったり、男性向けのお店が並ぶ繁華街に近かったりすると、「女性専用」と銘打ったところで女性の物件選びの候補にはなりません。女性が安心して生活できる周辺環境かどうか、ターゲットを女性に絞る前にまずこの点を確認しましょう。
 
・セキュリティ
ポイントは夜間の明るさ。ホールや玄関、内廊下だけでなく、駐輪場や敷地内の通路にも照明が必要です。ゴミ捨て場にもあったほうが良いでしょう。
敷地内に人が隠れられそうな死角があれば、無くなるように造り変えてしまいましょう。
誰がどの部屋に住んでいるのか、外部から確認できないようにすることも重要です。エントランスホールやポスト部分、玄関先は、敷地外から見えないよう目隠しになるものを造って下さい。
女性専用ならオートロックは当然。できれば防犯カメラがあると望ましいのですが、難しい場合はせめてダミーカメラの設置をおすすめします。
 
・共有部分の使いやすさ
駐輪場、ゴミ捨て場といった共有部分の使いやすさ、使われ方もチェックポイント。共有部分の様子から管理がしっかりされているかどうかを判断して、物件選びの基準にする人も少なくありません。
駐輪場に簡単にラインを引いて戸数分に区分けしたり、ゴミ捨て場の分類のサインを壁に描いてみるなど、ひと工夫するときっちり感が出て使いやすくなりますし、印象も良くなります。

女性の感性に響く工夫で心を掴む

・外観や共用部のデザイン
できればエレガントな洋館風やリゾートホテル風など、非日常感があると良いでしょう。いわゆるSNS映えして、友達に自慢できるようなデザインなら言うことなしです。
手摺りやポスト、照明などを材質や配色、テイストを統一して交換するだけでも雰囲気を変えることができます。
部屋番号などをサインとしてデザインしてもお洒落です。
 
・マンションの名称
マンション入口には洒落た館銘板(サイン)を置いてみましょう。
少し違った視点では、「建物の名称」も意外にポイントとなるようです。住所を書くときには「○○荘」「コーポ◯◯」よりも、「◯◯ヒルズ」「◯◯コート」の方が素敵なマンションに住んでいる気分になれるのだとか。

女性向けのアピールは、部屋の中より共有部分が鍵

内装をお洒落にリフォームするのは比較的簡単ですが、実はそれほどアピール力は強くありません。
インテリアにこだわる女性が多いのは確かですが、こだわる人ほど自力で部屋の雰囲気を作り上げることを楽しみます。昨今は女性向けのDIY本もたくさん出版されており、簡単なDIYなら自分でこなす人も多いのです。
 
となると、鍵となるのは借主が手を出せないお部屋以外の部分。ここに女性向けのインパクトがあると、強くアピールできます。
 
セキュリティ面とデザイン面を女性視点で見直して、足りないところ、変えられそうなところを考えてみましょう
大掛かりなリノベーション以外にもできることはいろいろありそうです。
 
著:猫野千秋