ちょっと御幣があるかもしれませんが、街を見渡して思うに、日本の建物は色彩を上手く取り入れて使うことが苦手なのではないでしょうか。最近はDIYも広く認知され、自分の生活空間を、自分の手で好きなようにカスタマイズできるようになり、インテリアには色をうまく取り入れている方が増えてきているのにも関わらず・・・。

日本の都市部の街並みは、特にその様子が顕著です。西洋の大都市と比べてみると、その差は明らかです。例えば、スペインの都市マドリッド。それぞれ違うデザインの建物であるのに、黄・赤み系の外壁の色調が統一され街並みとしての一体感が感じられます。

こちらはデンマークのニューハウン。先ほどのマドリッドとは違い色の種類は複数使われていますが、ペールトーンの色調にまとめられているので、調和がとれた印象を受けます。

それに対し日本は、個々の建物が主張し色調やトーンが複雑に入り乱れ、周囲との調和が取れていないのが歴然です。

日本と色の関係

そもそも、日本の建築は古来、その土地で採れる木・土を主材料とし、建物を造ってきました。例えば、土壁や、屋根葺材、瓦など、土地に馴染む色が自然と使われ、統一された美しい街並みが形成されてきています。日本の各地域には、その風土に根ざした素材による個性色というものがあるのです。もちろん、昨今は日本にも景観法の一項目として色彩基準が設けられ、整備は進んできてはいますが、どうしても新しい建材や工法が表立ち、一つ一つの建物が独立した、ばらばらな街並みが形成されています。
それでは、日本の街並み復興のため一斉建替!!・・・なんて、そんなことは夢のはなし。厚生労働省の統計によると、今後、日本の人口は減少が進み、高度経済成長期のように新築マンションが次々と建つ時代ではなくなりつつあります。ということは、今ある建物を活かす=リノベーションが重要視されていく時代へと少しずつ変わってきているのです。リノベーションは既存の建物の個性を発見し、活かす。それは、壊れつつある街並みを整えるチャンスかもしれません。

色を取り入れる方法

例えば、色が複雑に乱れる街並みには、緩衝地帯=バッファゾーンとして、あえて無彩色の建物ボリュームを落とし込む。(1)そうすることで、その周辺全体を調和させ、上質な景観へとまとめることができます。

若しくは、色の整理。(2)こちらの建物のように土壁の淡い黄土色、瓦のいぶし銀色といった日本の街内に溶け込みやすい色構成にすることで、建物自体があたかも昔からそのまま存在したかの様な、落ち着いた印象を持たせます。
このように今後、建築やリノベーションは恐れることなく積極的に色彩を用いて、街並みの調和を図っていくべきかも知れません。