こだわりの詰まった理想の空間を手に入れるため、将来的にリノベーションを考えている人は多いのではないでしょうか。家具やインテリアだけでは演出することが出来ないことも、部屋の構造自体を変えることで可能となることがあります。自由な設計が出来るため、メリットが多いように感じるリノベーションですが、住宅の種類や構造によっては出来ることと出来ないことがあるため、注意が必要です。リノベーションの相談をした後で、自分の考えていたことの多くが出来ないことだと知ってしまうと、なんだかがっかりしてしまいますよね。そういったことにならないためにも、今回はリノベーションでどこまで変えることが出来るのか、住宅の構造による違いなどについてご紹介します。
一戸建てのリノベーションはどこまで自由に設計できる?
現在住んでいる住宅や、中古住宅を購入してリノベーションを施す場合にも、構造によっていくつかの制限があります。一戸建て住宅は土地も含めて自分が所有しているため、比較的リノベーションの自由度が高くなっていますが、吹き抜けをつくったり間取りを変更するなどの大規模な工事を施す場合には、耐久性の問題が出てくる可能性も高いため、注意が必要となります。
生活空間を広くするため、リノベーションでは柱や壁の撤去がされることが多くあります。しかし、柱や壁が建物の構造上で重要な場所となっている場合には、撤去することが難しいこともあるため、全体のバランスを考えながら判断しなければなりません。特に壁式構造の場合は、壁の移動などが基本的に出来ない仕組みになっているため、大掛かりなリノベーションは難しくなってきます。まずはその住宅が木造建築なのか鉄筋コンクリート造りなのかを把握して、構造上の制限をよく理解しておくことが大切です。
リノベーションが容易なものとしては、段差をなくして床を平らにするバリアフリー工事や、キッチンや浴室の移動などがあります。木造住宅の場合は、窓の移動や増設も自由に設計できることが多く、リノベーションを施すには適した構造となっています。
増築に関する様々な制限
住宅の部屋数を増やすために、大規模なリノベーションを施して増築を考えている方もいるかもしれません。2階部分を撤去して1階建ての平屋にするといった減築は比較的容易におこなうことができますが、増築を施すためには様々な制限や条件をクリアする必要があります。
中でも意識しておかなければならないのは、建築基準法で定められている建ぺい率や容積率に関する制限です。これらは敷地面積に対する床や建物自体の面積を制限するもので、地域によって割合が異なってくるため、事前に確認しておく必要があります。許可されている範囲内であれば、庭などの余ったスペースに増築を施すことができます。
また、2階建ての住宅を3階建てにするといった縦の増築は、原則的に不可能となっています。2階建てと3階建ての住宅では、基礎の造り方が違うものになっており、耐久性に大きな問題が出てくるため禁止されているのです。ただし、平屋1階建てから2階建てへの増築は可能なケースがあります。専門家の設計のもと、建築申請をおこなうことで増築することが出来るので、家族が増えた家庭でも新しい物件を購入することなく、部屋の数や生活スペースを広げることが出来ます。
マンションで出来るリノベーションの範囲
マンションの部屋にリノベーションを施す場合にはまず、専有部と共用部の違いを理解しておく必要があります。エントランスや廊下、エレベーターといった場所以外にも、部屋の窓や玄関ドア部分はマンションの共用部となっているため注意しましょう。リノベーションを施すことが出来るのは、個人の所有物であることが認められている専用部のみとなっています。
大規模なリノベーションが難しいイメージのあるマンションですが、共用部である構造体のコンクリートや、配管スペースの工事を避けておこなうことで、間取りの変更やコンセントの増設なども可能となっています。マンションの管理規約で許された範囲であれば、床材をフローリングや畳に交換することも出来ます。ただし、下階への騒音トラブルにもつながるため、遮音性の低い素材は避けるようにしましょう。
キッチンや浴室といった水回りも、配管スペースから離れすぎなければ、問題なくリノベーションを施すことができます。マンションに暮らしている方でもリノベーションを諦める必要はなく、工事のできる専用部は多くあるので、一度確認してみることをおすすめします。
リノベーションで快適な暮らしを手に入れる
一戸建てやマンションにおけるリノベーションの違いについてご紹介してきました。構造によっても出来ることは変わってくるので、中古物件を購入してのリノベーションを検討している方には、比較的自由度の高い木造住宅がおすすめとなっています。住んでいる家に合わせて生活をするのではなく、生活に合わせた生活空間を手に入れることができるのが、リノベーションの最も良いところです。住宅によって出来ることと出来ないことをしっかりと確認して、実現可能なリノベーションを思い描いてみてはいかがでしょうか。