リノベーションで魅力的な物件に

出典:http://ikigoto--tumb.tumblr.com/post/104715793999/%E7%B5%A6%E6%B0%B4%E5%A1%94-%E4%BD%8F%E5%B1%85-water-tower-residence

物件の魅力って何でしょう? 
立地、広さ、日当たり、周辺の環境。そんな基本的なスペックに加えて、「そこに住みたいかどうか、楽しい暮らしが想像できるのか」ということも大切でしょう。
残念ながら、基本の部分はなかなかどうしようもありません。
建物の場所を動かすのは普通ちょっと無理ですし、周辺環境を変えるには粘り強い地域活動が必要ですから。
でも、リノベーションで「ちょっと楽しそう」「なんかおもしろい」を目指すことだったら、そう難しくありません。
場所柄にうまくマッチすれば、かなり大きな効果も期待できます。
ピンチをチャンスに、マイナスをプラスに。一発逆転もあり得ます。
あ、でも、しっかり方向性を検討してやらないと、チャンスをピンチに変えてしまうことも…。

視点を変えてみると、意外とイケてるかも?

大阪に、労働者の集まる「あいりん地区」というところがあります。
以前はとてもハードな街で、女性や子供の近づきがたいエリアでした。
住居を持たない労働者向けの「ドヤ」と呼ばれる簡易宿泊所が密集していて、観光とはほど遠い雰囲気だったといいます。
ところが近年、この街の人達も高齢化し、雰囲気が変わってきました。
また外国人観光客、特にバックパッカーが増えてくると、この地域の安い宿泊施設が人気になり、それに合わせて簡易宿泊所も外国人客を意識したゲストハウスにリノベーションするところが多く、いまではとても国際的な活気のある街になりました。
私たちが「ちょっとこわい地域」と思っていた場所も、そういう先入観のない外国人観光客の目から見ると「都心に近く便利な地域」だったのです。
 
たとえば地域や立地、制約の多い土地の形など、これまで漠然と不利だと思っていた条件も、別の立場の人達から見るととても魅力的に映ることがあります。

じわじわ人気、団地リノベーション

かつては便利さや実用性、快適さから新時代のライフスタイルともてはやされた「団地」も、いまではむしろ時代に取り残されてくすんでしまったイメージがあります。
築50年近く、コンクリートの外壁も経年で疲れが隠せません。
でも、これを「コンクリートに独特の「味」が出た」とプラスに捉えると、にわかに魅力的に見えてきます。えっ、見えてきませんか?
団地ができた頃に植えられた植栽も大きく育って、それと寄り添うように古びたコンクリート。
いまではむしろ「懐かしさ」を感じる人が増えているようですよ。
ねっ、なんとなくそんな気がしてきたでしょ?
エレベーターが無かったり、風呂が旧式だったり、多少の不便も含めて、いまあえてそこに高度経済成長期へのノスタルジーと憧れを感じるのかもしれません。
最近では、このような団地の外観を残して、室内を大胆に今風にリノベーションした物件も人気です。
 

「映える」外観リノベーション

BEFORE

また、外観のリノベーションも、大きく物件の印象が変わります。
人は見た目が九割、なんていう身も蓋もない意見もありますが、建物もやっぱり第一印象は大切です。
街を歩いていて、なんとなく写真に撮ってみたくなるような、心のどこかに引っかかるような物件。
SNSにアップした写真の背景に映っていて「あっ、このお家知ってる!」と友だちがコメントを入れてくる
多くの人の印象に残っている物件。
街の空気から浮いてしまってるような、というのはちょっと考え物ですが、周辺住民の反感を買わない程度に個性を主張するのはありでしょう。
ぱっと見て「あ、なんか楽しそう、ここに住んでみたい」と思う、そこに住む自分や暮らしがイメージできる、そんな外観にリノベーションできれば、物件の魅力は急上昇です。

街並みに溶け込む素敵な外観。
いや、むしろ溶け込んでしまわない個性的でインパクトのある外観。
お洒落に振るか奇抜さを狙うか、あれこれ悩ましいですが、ここはひとつ視点を変えて
新しい発想でリノベーションを楽しんでみる気持ちが大切なのではないでしょうか。

著:おじま あきら