部屋へのダメージが少ない?犬への誤解
出典:https://pixabay.com/ja/愛らしい-動物-犬-クローズ-アップ-ソファ-かわいい-家畜-1866530/
需要の高まりに応えて、増えつつあるペット可の賃貸物件。
ところが実態としては犬のみOKの物件が圧倒的多数を占めます。
猫と違って爪とぎなどで部屋を傷つけるイメージがないことが、物件供給数に差が出る大きな理由となって
いるようです。
では犬ならリノベーションでの対策は必要ないのか?といえば、実はそんなことはありません。
幼年の犬は特に激しく室内で遊んで部屋の中を傷つけますし、猫にはない、犬ならでは習性や特徴も部屋の
ダメージやトラブルに繋がる可能性があります。
ペット共生仕様へのリノベーションは、犬・猫関係なく行うべき対策なのです。
「「猫と暮らしたい」ニーズ増加中!『猫共生物件』で空室対策をしよう」の記事とも共通するペット共生
仕様の基本と、犬ならではのリノベーション対策をご紹介します。
ペット共生物件の基本ポイント
●トイレ設置スペース
静かに落ち着ける場所での排泄を好むのは猫と同様です。
ニオイ対策も兼ねて、トイレ専用の設置スペースを設けましょう。
●床の汚れや傷
犬は猫のような爪とぎはしませんが、床を掘るようにひっかく行動をすることがあります。
元々地面に巣穴作って生活していた動物なので、その習性の名残りでフローリングやカーペットを
掘ってしまうのです。
また、犬の肉球は乾燥しているためフローリングでは非常に滑りやすく、対策しないと怪我をしてしまう恐れもあります。
傷防止加工がされているだけでなく、滑りにくい床材を使いましょう。
●ニオイ対策
ペット臭にもトイレの臭い、フードの臭い、ペットの体臭といろいろありますが、犬は特に体臭が強いのが
特徴です。部屋の中に臭いが染みつかないよう、消臭効果のある建材の活用して対策しましょう。
換気は消臭に大きな効果を発揮します。しっかり空気が通り抜けるよう、窓や換気口の場所も見直して下さい。
犬ならではのリノベーション対策
●猫の場合より重要!防音対策
犬にとって吠えるのはコミュニケーションの手段。そのため頻度がそれなりに多く、ボリュームも隣近所に聞こえるくらいの大きさがあるのが普通です。
また、一部の小型犬以外は猫より体が大きいことがほとんどで、歩き方も猫のように静かではありません。
キャットウォークなどの高所から飛び降りることがなくても、歩いたり走ったりする足音が響くことは十分ありえます。
騒音トラブルを避けるために、壁・床両方に防音対策を施しましょう。
●リードフック設置で便利に
犬を連れての外出時、玄関で飼い主が鍵を開け締めしたり、ちょっと忘れ物を取りに中へ戻ったり、そんなときにリードを引っ掛けておけるととても便利です。
ポスト付近にあれば郵便物を取るときに不自由しません。駐輪場や駐車場にも着けておくと良いでしょう。
脱走を防ぐだけでなく、共用部での他の入居者とのトラブルも防止できます。
散歩帰りに便利な共用設備
●共用部分にはペット用の足洗い場
散歩から戻ったときに共用部分を汚してしまわないよう、外にペット用の足洗い場を設置しましょう。
「共用部分では抱き上げて移動する」というルールを決めるオーナーも多いのですが、飼い主にとっては不便で守りにくいルールです。エレベーター内や人目のないところでは下ろしてしまうかもしれません。
飼い主に使いやすくすること、それが共用部分をきれいに保つことにも繋がります。
●散歩中の排泄物は汚物ダストへ
散歩で持ち帰った犬の排泄物は、土や砂利、石ころなどが混ざっています。
マナーを守って燃えるゴミとして出してくれればよいのですが、トイレに流して詰まらせてしまう人もいるかも知れません。
ゴミとして室内保管していても臭いが心配です。部屋に染みついたり、バルコニーなどに一時置きして隣室との悪臭トラブルになったりすることも考えられます。
汚物ダストは散歩で持ち帰った排泄物の処理ができる設備。
共用部分に設置してトラブルを防ぎましょう。
●ドッグラン
可能であれば敷地内や屋上にドッグランを作って下さい。
一人暮らしで犬を飼っている人だと、散歩時間の確保が大変な人も多く、散歩の代わりにドッグランで
遊ばせることができるととても助かります。
飼い主同士、犬同士のコミュニケーションの場ができるのも喜ばれるでしょう。
賃貸市場のブルーオーシャン、ペット共生物件
犬共生物件のポイントは、室内だけでなく共用部分にもあります。
足洗い場や汚物ダストなどの共用設備で使いやすくして、犬の習性を踏まえたリノベーションをすることが大切です。
「意外と対策することが多くて大変そう……」前章までを読むとそんなふうに思えたかもしれません。
しかし人と賃貸物件が溢れる東京都でも、ペット可の賃貸マンション・アパートは10数%程度。増えつつあると言われていてもまだまだ供給が少ないのが現状で、やはりペット共生物件は賃貸市場のブルーオーシャンなのです。
しっかりポイントを押さえて、ペット共生物件として所有物件を生まれ変わらせましょう。ニーズに応えるリノベーションができれば、空室知らずの人気物件になるのも夢ではありません。
出典:ペット共存マンション 【 新築も / 外リノギャラリー 】
著:猫野 千秋
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