建物に触らず外観をイメチェン

外観リノベーションといえば、すぐに思いつくのはデザイン性をアップする外壁塗装やエントランスをおしゃれにする改修工事といったあたりでしょうか?部屋探しをする人に、わかりやすいインパクトを与えるリノベーションですよね。
しかしあまり知られてはいませんが、実はこの他にも演出効果の高い工事があるのです。
 
それが「ガーデン工事」、建築用語でいう「植栽工事」。
 
街中や物件検索サイトの写真で、マンションの外観を眺めてみましょう。外構部分にはどんなグリーンがあって、どんな場所に配置されているでしょうか?
少し意識して見てみれば、植裁がマンションの雰囲気作りを大きく左右していることに気付くはずです。
 
建物に直接手を加えなくてもOK。エクステリアや敷地内の木々を入れ替えたり増やしたり、それだけでマンションの世界観に奥行きを加え、彩りを豊かにします。
めいっぱい敷地に植え込む必要もありません。要所に配置するだけで贅沢な生活空間を創り上げ、見栄えのする建物にしてくれます。
マンションのガーデン工事には、こんな風に意外と強い影響力があるのです。

実証される効果は絶大

近頃の新築分譲マンションでは、植栽工事に力を入れるデベロッパーも増えてきました。狭い敷地の賃貸マンションでも、限られたスペースにおしゃれなイメージのハーブや、比較的メンテナンスの楽な中高木を取り入れる動きがあります。
 
では実際にどんな植裁がどんな効果をもたらすのか、いくつかご紹介しましょう。
 
・四季折々の植物を植える
エントランス前に、あるいは敷地内に散りばめるように、桜や紅葉樹、落葉樹、四季折々の花々が植えられていると、生活空間にストーリー性が生まれます。
「春になると桜が見られる」「秋の景色がマンションを彩る」、季節ごとのビジュアルの変化は、そこに住む人々にいつも新鮮さを感じさせるでしょう。
 
・世界観を象徴する植物を植える
マツやナンテン、フッキソウ、トクサにツワブキなどは、洗練された和風の雰囲気を創り出します。耐寒性のあるヤシやソテツなどを使って、非日常感ある南国リゾート風を目指すのも楽しそう。ヨーロピアン調のおしゃれ空間には、オリーブやコニファー、ハーブがおすすめです。
 
・7、8メートル級の大木を植える
マンションのシンボルになるような木を植えましょう。印象的な大木で、マンションの世界観づくりを決定づけます。
マンションの個性となって居住者の愛着も育んでくれるでしょう。

メンテナンスに向き合う覚悟も

比較的世話が楽な植物はありますが、相手は生き物、メンテナンスの手間やコストがゼロになるということはありません。夜間演出の照明器具に球切れ交換が必要なのと同じように、植裁にも枝葉の剪定や落葉掃除などが必要です。
 
メンテナンスをできるだけ簡単にして費用を抑えるコツは、日常の世話に手間の掛からない植物を選ぶこと。
 
グランドカバーとも呼ばれる地面を覆うように繁る地被植物は、環境適応力が高く丈夫な植物です。中でもローズマリーやハイビャクシンは乾燥に強く、雨水だけでもしっかり成長してくれます。梅雨や秋の長雨対策として、水はけの良い土に植えましょう。
生えている場所は見栄えが良くなるだけでなく、雑草が伸びにくくなるため、そうした面でもコストパフォーマンスの良い植物です。
 
中高木の常緑樹なら、肥料が無くても育つシマトネリコ、寒さに強く半日陰でもOKなシラカシ、雨水だけでも育つナナミノキなどが、育てやすくておすすめです。
 
始めに特徴を吟味して植物を選べば、年に一度や二度まとめてのメンテナンスで、良い状態を維持できます。
 
少し気を付けたいのが、大規模修繕工事の際の外観・外構の改修工事。足場を組んだり機材を置いたりすることで植物がダメージを受けることがあるので、工事のあとは植裁の様子を確認しておくと良いでしょう。

DIYでさらに愛着度アップ

植栽工事は業者に頼むこともできますが、2m以上の中高木でなければDIYも可能です。
ホームセンターや植裁用の木を販売している園芸ショップに足を運んで、目指す雰囲気を店員さんに相談しながら選びましょう。一定金額以上購入すれば、送料無料で送り届けてくれるところも多くなっています。
 
一日あれば、中木1、2本、グランドカバーも広さ1、2㎡くらい、楽しみながら植えることができるでしょう。
自分で植えた木は愛着が湧きます。植裁が完成してマンションの雰囲気がおしゃれに様変わりしたり、外観の様子が時間とともに整ったりするのを見るのは嬉しいもの。きっとメンテナンスも楽しみになります。
 
コストを抑えてマンションの個性を創り出すガーデンリノベーション、ぜひ挑戦してみて下さい。
木々が活動期に入る直前の1月後半から2月初めは、植え替えのベストタイミングです!
 
著:猫野千秋