水槽の水は予想外に量がある

筆者の部屋には、ウーパールーパーが居ます。
って、いきなり何を言い出すのかとお思いかもしれません。
いや、お思いでしょう。居るのです。

ウーパールーパーは水中の生き物なので、当たり前のことですが水槽で暮らしています。
水槽のサイズは幅60センチ、奥行き30センチ、深さ25センチほどです。
平成最後の6月18日、地震がありましたよね。あの時に、筆者の部屋もかなり揺れました。
そしてそのとき1メートルほどの台の上に乗っていた水槽は、たっぷんたっぷんと、
まさにいまにもひっくり返りそうなくらい揺れたのです。
しかしとっさにどうすることも出来ません。ただそれを見ているだけでした。
幸いなことにその後水槽はひっくり返らず、少し水がこぼれた程度で済みましたが、
後になって考えるとぞっとしました。
そのとき水は20cmくらいの深さでしたから、60×30×20で36000cc、36リットルほど
入っていたことになります。
お風呂の湯船の1/5近い量です。階下への漏水が起こっていたかもしれないですよね。
下の階の住人に謝りに行くシーンが脳裏に浮かびました。
原因がお風呂や洗濯機やトイレではなくて「ウーパールーパーの水でご迷惑をおかけしまして…」って、
かなり恥ずかしいですよね……。

集合住宅のトラブル

集合住宅に暮らす上でのトラブルというものはたくさんあります。
よく聞くところでは騒音問題。

夜中に大音量で音楽を聴くとか、ドラムを叩きまくるとか、木魚を連打してお経をあげまくるとか、
踊りながら謎の呪文を唱えまくるとか。
そういうアクティブなやつ以外でも、洗濯機を回す、掃除機をかけるといったことも問題になる
かもしれません。
これは筆者が経験したことですが、夜中に壁からどんどんという低い音が聞こえてくる、
というのが公団の同じ階段を使ってる人たちの間で問題になったことがありました。
二階から四階までの六世帯で、です。
しばらく経って原因が判明しました。
一階の人がルームランナーで走っていたのです。

他に多いのは、ペットの問題。
飼っていなくても近所の猫や犬、鳩、カラス、鹿、猪、シマウマなどに餌をあげている人が居て、
鳴き声や糞で周りが迷惑しているとか、そういうやつですね。

一番こわいのは、火の問題。
最近は家族に追いやられてベランダでたばこを吸うお父さんも多いといいますが、
その吸い殻をそのまま外に捨ててしまって、それが階下のベランダに、なんていうこともあるといいます。
他にも寝たばこなどの「たばこの火の不始末」もよく聞きますね。
たばこ以外では、天ぷらを揚げていてふとその場を離れて火が入るとか、
コンロの火が消えているのに気がつかなくてガスが充満して出火するとか、
最近ではリチウム電池のトラブルで爆発、なんていう恐ろしい話も聞きます。

水回りのメンテナンスは大切です

火事は間違いなくこわいですが、反対に(なのかな?)水の問題も大変おそろしいです。
冒頭でお伝えしたような水槽の水などもそうですが、もっと多いのは上下水道のトラブルです。
たとえば蛇口から出てくる上水は、水道管を通って各戸に届くわけですが、
水栓をひねるだけで出てくるのはつまり水圧がかかっているからです。
もともと水道管自体にかけられている水圧は、せいぜい3階程度までしか上げられない圧力なので、
それ以上の高さの建物では一旦自前の受水槽に水をためて、そこからポンプでさらに強い圧力をかけて
押し上げます。
つまりマンションなどの水道管には常に強い圧力がかかっている、ということです。
そして多くの場合、水道管は建物の壁の中を通っています。
もしも老朽化していても、見えない場合が多いです。
さらに、穴が開いたり継ぎ手が緩んだりして水が漏れ初めても、最初はなかなか気づかない場合もあります。
そして壁や床下にたまった水は、いずれ天井などからしみ出して部屋を水浸しにしてしまうのです。
水道以外では、下水などを含む排水設備もまたトラブルを起こすことがあります。
下水というとトイレや風呂がまず思い浮かびますが、排水ということでは屋根からの水を流す雨樋なども
考えなければなりません。
特に陸屋根やベランダなどといった水がたまりやすい構造の場所は、排水経路の掃除が欠かせません。
排水溝が詰まっていてベランダが冠水して、部屋に水が入ってきた、なんていう話も聞きます。
これら水のトラブルに対しては、とにかく早めの点検と、そしてメンテナンスが一番大切です。
ただ、なかなか完璧はありません。
メンテナンスでカバーできない万一に備えて、しっかりとした保険に加入しておくことも
忘れてはなりません。
水漏れ以外にも、水道のトラブルはあります。それはたとえば受水槽のメンテナンス不良で、
水質が悪くなってしまうことです。
水というのは長時間ためておくだけで塩素が抜けて劣化したり、ボウフラがわいたりします。
受水槽の水も、長く留まると悪くなってしまいます。
ミネラルウォーターの普及で水道水を飲まない人が増えたり、共働きで部屋にいる時間が減ったり、
そういう事情で水道の利用が少なくなって、受水槽に水が滞留することが多くなったというような
事情もあるでしょう。
これに対して最近では、受水槽を置かずに水道管からポンプに直結する「直結増圧式」の
直接給水方式が普及しつつあります。
地域によっては導入が難しいこともあるようですが、検討する価値はありそうです。
 

水って結構こわい奴なんです

「DHMOに反対しよう」というジョークがあります。
「DHMOという化学物質は、地球上にあるほぼ全ての物質に影響を与える危険な性質を持っていて、
人間がこれを吸い込むと死んでしまいます。
なのに世界中の政府はこれを規制しないばかりか、お金を取って人々に配っているのです。
いまこそこの危険なDHMOに反対しましょう」という内容です。
もうお気づきかもしれませんが、DHMOとは「2つの水素と1つの酸素」の略語で、つまり「水」のことです。このジョークは元々「人間はいかに怪しい情報に騙されやすいか」ということを知らせるためのものでしたが、しかしこの中の「水」についての説明は、実は全て正しいです。

そう、水というものはこの世の中のほとんど全ての物質を侵します。
もちろん砂糖や塩のようにほぼ一瞬で溶かしてしまうものばかりではありません。
何万年もかけて石灰岩を溶かして洞窟を穿ったり、平野を削り取ってグランドキャニオンを造り上げたりというものも含めてです。
このような壮大なことはまあ置いておいて、とりあえず家の屋根や床、部屋の中のテレビやパソコンや大切な写真などを台無しにするパワーを水は持っているので、日頃から気をつけなくてはいけないですね。

著:おじま あきら