集合住宅が終の棲家になる時代に

半世紀ほど前まで、三世代の家族が暮らす姿がまだまだ一般的で、戸建て住宅が「家」だった頃には
マンションなどの集合住宅は「仮の住処」と考える人が多かったといわれます。
その後世帯は核家族、そして単身世帯へと構成する人数が減っていき、さらに防犯や住居の設備
さらには高層階からの眺望などの面で、マンションや集合住宅の方がいろいろと有利な面が
知られるようになり、仮住まいではなく終の棲家とみられるようになりました。


一方で、多くの人が一つの大きな建物に住まうということは、たとえば外壁の補修やエレベーターの
メンテナンスなど、素人の手に負えない専門的な作業が必要になってきました。
また、そういう大きなこと以外にも、たとえば植栽の手入れや廊下の掃除、ゴミ収集の管理など
建物の規模によっては日常的な業務も住人の手では追いつかないこともでてきます。

そこで、住人でお金を出し合って、それらの業務を管理会社に委託するということが一般的になっています。
以上は、物件を所有し運営されている方にはごく当たり前の常識的な事柄ですね。

管理会社はどこも同じ、なんて思ってませんか?

さて、この管理会社。
大きなところから小さなところまで合わせると、いま全国におよそ80,000社あると
いわれています。(平成20年の公益財団法人日本賃貸住宅管理協会のデータ)
そのような中から、賃貸物件のオーナーの皆さんはどのように管理会社を選んでいるのでしょう。

一般的に多いのは「その建物を建てた会社、またはその関連会社やその会社から紹介された会社」
ではないでしょうか。
あるいは「自宅や物件から近いところにある会社」や「知り合いの会社」というのも多いかもしれません。
しかしこの管理会社、当たり前のことですが「どこでも同じようなもの」ではありません。
掃除の行き届き具合や住人の要望に対する対処の早さなど、日常業務の満足度はもちろんのこと
空室になったときの部屋の原状回復工事やそもそもの管理費の金額なども様々です。

また、空室になったあとには次の入居者の募集をすることになりますが、それがなかなか進まない、
どうもいまいち真剣にやってくれていないような気がする、なんていう不満もまま見受けられます。

実は管理会社は仲介会社ではありません

ただ、ここでひとつ重要なのは、「新規入居者の募集」や「仲介」は「本来は管理業務ではない」
ということです。
管理会社はあくまで賃料を徴収したり、契約の更新をしたり、建物の維持管理をしたりという「管理」を
する会社であって、新規の入居者を募集したり斡旋したり仲介したりするのは本来は「仲介業者」の
仕事なのですね。

しかし、たいていの場合は管理会社との契約には「賃借人の斡旋」とか「仲介」も含まれていることが
多いでしょう。
また、空室が多くなると管理費も減りますし、新しく入居が決まれば仲介手数料も発生しますから
管理会社としても入居者を募集するのは当然のことです。
ただし、ここの熱意が、管理会社によっていろいろ違いがあることが多いようです。

管理会社としては、実は1戸あたりの管理費というのはそんなに大きな額ではないこと
またその物件よりも条件がよくて決まりやすい物件があればそちらを優先して案内した方が
手っ取り早く収入になること、そういう計算が働くこともあるでしょう。

物件の条件、魅力というのは当然その物件そのもの、建物や部屋が素晴らしいかどうか、駅からの距離や
住環境また景観などのロケーションはどうか、といったこともありますが、それと同時に大きいのが
「賃料」でしょう。

物件自体の魅力に対しての相場よりも賃料が高いか安いか、です。
建物の建て替えは大変ですし、ロケーションは変えようがありません。
つまり魅力を上げようとすれば「賃料を下げる」しかないですね。

なので、管理会社がオーナーさんに対してできる働きかけは「賃料を下げてください」というところに
落ち着いてしまいがちです。

管理会社から見れば「入居者がすぐに決まる魅力的な物件のオーナー様」あるいは「素直に家賃を下げてくれるオーナー様」は「よいオーナー様」ということになりますね。
ただしこれは「都合のよいオーナー様」という意味ですが。

よい管理会社を選んで、乗り換えも視野に入れる時代です

それでも、募集に熱心な管理会社というのはしっかりと存在していますし、実際に効果も上がっています。
賃貸や購入に際して、どういうポイントで不動産会社を選んだか、というsumoがまとめた入居者の目線からの統計があります。
これによると、やはりインターネットにどれくらいの物件や写真を載せているか、その写真の出来映え
またその物件の欠点もしっかりと書いている、などが重視されているとのことです。

インターネットは誰でも見られます。
オーナーの立場からサイトを見て、どれくらいたくさんの物件が紹介されているか、
どんな写真を載せているか、良いところだけじゃなくよくないところもしっかりと書いているかなどを
チェックすることで、管理会社を選ぶ参考にするのもよいでしょう。

かつて管理会社は建物を建てた会社の関連会社などがそのまま入っていることが多く、あまり競争のない
業界だったといいます。
しかし今、情報が広く飛び回るようになって、管理会社も激しい競争にさらされる時代になりました。
これからはオーナーも管理会社について調べ、必要に応じて乗り換え、変更していくことが当たり前に
なってきます。

たとえばなかなか入居の決まらない物件を抱えていれば、いくつかの管理会社を訪ねて相談を
持ちかけてみて、その応対や返答を元に会社を選ぶというようなやり方も良いでしょう。
管理会社の変更というと大がかりで面倒な手続きが必要と思われるかもしれませんが、今はそういうことも
結構当たり前に行われています。
実際に動いてみるとトラブルもなく、スムースに事が運ぶことが多いようです。
もちろん今の管理会社と良好な関係を築くことができればそれが良いですが、どうもうまくいかないと
感じられている場合はこのような乗り換えも視野に入れられればいかがでしょうか。

著:おじま あきら