夏場は熱帯並みに高温多湿なのに冬はきっちり寒い。
メリハリのある日本の気候は身体に堪えますよね。
この条件、私たち人間だけでなく、建物にも厳しいのです。
大きな温度差やそれにともなう結露、風雨、湿度、紫外線などの影響で
建物は建てられた直後から劣化が始まります。
長く快適に暮らしていくためには、住まいも日頃からのメンテナンスが大切です。

建物の劣化はまず外側から

建物の劣化は、直接風雨にさらされる外壁から始まります。
たとえば最初に劣化が現れるのは塗装。
表面が劣化してくると粉を吹いたようになります。
見た目が悪いだけでなく防水性もなくなって、水が染み込み、外壁そのものが傷んでしまいます。
なので、新築から十年も経てば外壁の塗装工事が必要になってくるのです。
最近の建物は、外壁をサイディングで仕上げるのが主流になっています。
サイディングというのは、建物の外壁に貼り付けるボードのことで
一般的にセメントや金属でできています。
あらかじめ工場で作られるので品質にバラツキがなく
現場で施工する塗り壁などよりも一般的に工事価格が安くなります。
耐水性や耐候性も優れていますし、色やデザインなどの種類も豊富です。
ただし、サイディングも材質自体は雨を吸収しますので、表面の塗装が劣化すると塗装工事は必要です。
また、サイディングはいろいろな建物に貼り付けるという性質上
壁全体を一枚でカバーするような大きなものではなくて、何枚かを貼り合わせて施工することになります。
そして、貼り付けたボードとボードの隙間から水や湿気が入り込まないように
コーキング材という充填剤で埋めていきます。
コーキング材はペースト状でチューブに入っていますが
乾くと弾力性のあるゴムのような性質に変わります。
水を通さず、部材を接着する効果もあるので、サイディングの隙間だけではなく
外壁や水回りのひび割れの補修や防水工事にも使われます。

内側もまた、劣化していきます

外壁ほどではありませんが、内装もまた暮らしていくうちに劣化が現れます。
たとえば壁。内側は雨風に晒されることはありませんが、温度差による結露が発生します。
石膏ボードや木材など、外壁に比べるとデリケートな素材が使われますから
湿気による劣化は無視できません。
また当たり前のことですが床なども、日々の生活でどんどん傷んできます。
ところで床や壁など、一見木目調に見えているものも、近頃は無垢の木よりもプリントがほとんどです。
樹脂や集成材などの表面に、木目がプリントされたシートやフィルムを貼り付けたものです。
大阪の万博公園にある「太陽の塔」という巨大な像をご存知でしょうか。
芸術家の岡本太郎さんが制作した作品ですが、そのてっぺんの部分には金色に輝く「未来の顔」と
呼ばれる部分があります。
実はあの金色は、フィルムなんです。
金属製の下地に、金色に輝く薄いフィルムを貼り付けてあるのです。
そのフィルムはスリーエム製だそうです。
住まいの内装に使われるフィルムに「ダイノックフィルム」という製品がありますが
これはスリーエムの商品名です。
他にもいろいろな会社から、リアテックやオルティノといった商品が出ていますが
概ね同じように使うことができます。
一般的な名称は「硬質塩ビタックシート」といいます。
木目に限らず、レンガやコンクリートなど様々な柄が用意されていて
部屋の雰囲気をがらっと変えてしまうようなリフォームができます。

DIYにチャレンジしてみませんか?

外壁塗装やコーキング、ダイノックシート施工などというと
専門の業者に任せる方がほとんどだと思いますが、自分で作業することも可能です。
いわゆるDIY、ドゥー・イット・ユアセルフというやつですね。
作業にはそれなりの準備と、知識、体力、そしてやってやろうという気持ちが必要ですが
乗り越えられないほど困難なものではありません。
材料はプロ用のホームセンターなどで手に入りますし
施工方法、手順などの情報もWebサイトで簡単に調べることができます。

http://www.sharpchem.co.jp/caulking/diy.html
http://www.sinwa-inc.co.jp/pre/pdf/craftsmanship.pdf

筆者の知り合いに、永年小劇団を主宰していて大道具の経験もあるIさんという人が居ますが
彼は街中にとても古い木造の民家を購入して、自分一人で建物全体の内装をほとんどすべて
剥がしてリフォームしました。床板や天井、水回りも含めてです。二階への階段の位置まで変更してました。
彼のケースはちょっと普通ではありませんが、住まいのリフォームというのは内容によっては
自分自身でできることもかなりあります。
費用の軽減はもちろん、日々暮らしていく住まいに対する愛着やいたわりの心もきっと
深くなることでしょう。
 
注意・電気工事等、専門の資格が必要な作業はプロに任せましょう。