そもそもヴィンテージってナニ?
ヴィンテージって言葉は便利で、普段何気に会話や活字で見聞きしてますが、その文脈からして「古い」「めずらい」「貴重」的なニュアンスで使われてるような気がします。
自分はファッション大好きなので、学生時代から「ビンテーリーバイス」や「ビンテージジャケット」なんて言葉を雑誌で目にしながら、古くて貴重な服をヴィンテージと呼ぶもんだと思っていました。でもヴィンテージの語源はワインの年代を表す言葉らしく、VINTEGEの単語は“VIN”(ワイン)と“AGE”(年代)で大別できる。なるほどそういうことだったんですね。まぁ広義的には100年未満で古くて希少性のあるものあたりでしょうか。
ヴィンテージ・マンションの定義は?
それではヴィンテージを建物に当てはめた場合はどうでしょう?たとえばヴィンテージマンションと言うワードを画像検索してみると、70年代あたりの“つくり”の良さそうな建物から、“単に古い”だけにしか見えない建物までひとくくりで紹介されています。しかし建物もファッションの場合と同じで、当然古いモノ全てが当てはまるわけではありません。さもなければ日本中に存在する団地ほぼすべてがヴィンテージアパートと名乗れてしまいます。いまでも作り手のこだわりが残されていて、しっかり管理されてきた建物のみがヴィンテージマンションといえるんじゃないでしょうか。
住み心地もヴィンテージでなければ‥‥‥
またヴィンテージワインがワインセラーでじっくり熟成されてきたように、ヴィンテージマンションも長きに渡り手間暇かけて管理とメンテナンスが維持されてきていることが必須だと考えます。単に広々快適な間取りやロケーションだけでなく、成熟した住民間のコミュニケーションは住み心地を決定する要素のひとつです。
そういった意味でもヴィンテージマンションで暮らす満足度の高さは数字だけで測れないモノと言えるでしょう。
やっぱり住みたいヴィンテージマンション。
ソファやテーブルランプ、テーブルに合わせたマグカップ。昭和の時代に作られた美しいプロダクツはやはりそれなりの空間に置いてあげると美しく光り輝くものですね。職人さんが一枚づつ貼っていく小口タイルや厚吹きの塗装、研ぎ出しのフロアーにガラスブロック。建築がほぼ現場の手作業で造られていた、温かい時代の建物に包まれる安心感。現代の暮らしに合わせ、不便さを感じさせない工夫を少しだけ付け加えたヴィンテージマンションが少しづつ増えています。ただしブームと云えるほどの棟数は先の理由から存在しないと思いますが、ブームでもブームでなくとも時代を経た重みは新しい空間では味わえない。鵜注意深く周りを見渡してみると、意外に身近に見つかるかもしれませんね。
インターデザイン 小寺