出典:https://pixabay.com/ja/photos/緑-メールボックス-黄色-番号-2584194/
ネットショッピングの利用が当たり前となっている現代、留守でも荷物の受け取りができる宅配ボックスは、賃貸マンション・アパートの必須設備となりつつあります。
しかし、最近の新築物件には始めから設置されていることが多いものの、少し古い建物だとあまり一般的ではありません。古い建物でも後付可能な宅配ボックスを導入して、ぜひ現在の宅配ボックス需要に応えたいところ。
そこで今回は、宅配ボックス導入のための基礎知識と準備についてご説明します。
(※参考:「入居の決断にも大きな影響!需要の高い施設設備とは」)
宅配ボックス導入の前に準備すること
・宅配ボックスがいくつ必要かを把握する
全部屋分の個人用ボックスを用意できれば便利ですが、コスト面やスペースの事情を考えると、全部屋分を用意するのは現実的ではないというケースも多いのではないでしょうか。
実際のところ宅配便は、「ほぼ毎日すべての部屋に届く」というわけでもないので、必要数用意できれば十分需要に答えることが出来ます。
必要数の目安は、コンピューター式なら3割超、機械式なら5割程度。ネット接続されていて遠隔管理可能タイプなら2割超です。
各タイプの機能は後の章でご説明しますが、高機能・高コストなほど必要なボックス数及びスペースを減らせることになります。
・設置場所を検討する
入居者と宅配業者にとっての利便性を考えると、既存の郵便受けと同じくエントランスに設置するのがベストです。
設置できるだけのスペースがない場合は、既存の郵便受けごと新調して宅配ボックスと一緒に新設してしまうのが簡単です。まるごと一新がコスト面などの問題で難しいのであれば、他の場所に設置スペースを見付ける必要があります。
雨風にさらされず、外部から侵入されにくい場所、入居者が使いやすく宅配業者にわかりやすい場所を選んで設置しましょう。
・設置するボックスサイズを選ぶ
本を1冊、ゲームソフトを1本、といった買い物も、ネット通販では頻繁に行われます。小型ボックスは数を多めに用意しましょう。
学生の多い物件なら、ダンボールいっぱいの荷物が実家から届く、ということもよくあるはず。ミドルサイズ以上もある程度の数必要です。
ゴルフバッグや出張の荷物などがしょっちゅう届く入居者層なら、大型ボックスもいくつか用意する必要があります。
入居者層によるボックスサイズの需要の違いを考慮して、どのサイズをいくつ導入するか検討して下さい。
宅配ボックスの種類とコスト
・機械式
ダイヤル式の鍵が付いた宅配ボックスです。宅配業者が荷物を預け入れる際に暗証番号を設定し、受け取りの際に入居者が暗証番号をダイヤルして解錠します。
荷物の受け取りに必要な印鑑を、あらかじめ中に入れておく必要あり。
暗証番号を把握しているのが受け取る側だけではない、というセキュリティ面のデメリットはありますが、電源なしで利用できるため導入と維持のコストを抑えることができます。
・コンピューター式(オフライン・オンライン)
部屋ごとに設定された暗証番号をタッチパネルなどから入力するタイプと、カードキーで解錠するタイプがあります。宅配業者と暗証番号のやり取りをする必要がなく、操作履歴も残るため、セキュリティ面は機械式より安心です。
捺印機能の付いているものであれば、印鑑の用意は必要ありません。
オンラインタイプは遠隔管理が可能で、荷物が預けられると部屋のインターホンを鳴らして知らせたり、報告メールが届いたりする機能を持つタイプもあります。
電源が必要で、高機能なほど導入コストと維持コストが掛かることがデメリットです。
・リースと購入
購入以外にリース契約して導入する方法もあります。
価格はボックスサイズや機能によって違うので、必要なサイズとボックス数、欲しい機能を決めてから比較検討しましょう。
入居者のニーズを見極めて、快適運用を目指す
入居者の利便性アップが宅配ボックス導入の目的です。設置してみたらボックスの数が足りなかった、なんてことになってはガッカリ。クレームにもなりかねません。
需要の高いボックスサイズの検討がつかなければ、入居者にアンケートを実施するなどしてニーズを掴んでみて下さい。
利用ルールを入居者に徹底することも大切です。ボックスを専有してしまう受け取り忘れにどう対処するのか、誤配の際の対応など、明確にしておきましょう。
他の共用設備と同じように入居者がストレスなく使える状態にすることが、空室対策に繋がります。
著:猫野 千秋