自分が家主として
わたし自身、賃貸マンションや区分所有も経営するオーナーでもあります。
購入した当時は、良い物件を取得できたもんだとずいぶん喜んでいましたが、実際はそう甘くはありませんでした。
それまでお客さんである、たくさんの家主さんからお聞きしていた厳しいい現実が、自分にも重くのしかかってきました。
購入時は満室の物件も、わずか数年で空室率が30%までに。
管理会社と対応策を練りましたが、なにせ人気の無い沿線、人気の無い間取り、当然厳しい話し合いに。
投資はどこで回収するのか?
埋まりにくい空室が出始めると、家主は管理会社から選択を迫られます。
一つ目は、家賃ダウンによる競争力向上、
二つ目は、室内のリフォームによる競争力向上です。
所有者なら誰もが家賃を下げたいなんて考えません。
しかし大掛かりな水回りを含めたリフォームの場合、
その金額はおおむね3ケタ万円までハネ上がるでしょう。
それでも空室が埋まる保証などなく、
家賃を維持できる保証もありません。
3ケタ万円の工事費を掛けてしまった場合の回収に
いったい何十ヶ月、いや何百ヶ月必要になるのでしょうか?
ためしに3点ユニットをセパレートし、全体の原状回復まで行ってしまった私の場合、
なんとか賃料維持はできましたが、
まったく手を加えなかった別の空室が、工事をした部屋と同家賃で埋まった現実を納得し、
受け入れるまで、そうとうな時間を要しました。
流行りに流されてはいけない
インテリアのトレンドは時代と共に大きく変化するものです。
今は古臭くても、やがて新鮮と感じることもあります。
若い人たちの団地回帰もそのひとつではないでしょうか。
もちろんURさんの若年層に向けた意識改革も素晴らしいですが、
これはダメ、あれもダメと思考が停止しているのは消、費者側ではなく供給側なのかもしれませんね。
カリスマ大家さんの選択
『人の目線は3メートルまで!』そう名文句を吐いたリノベスピーカー勝山憲さんの講演を聴かれた、ある著名なカリスマ家主さんが自身のセミナーで言われました。
最低限必要な原状回復工事以外は、エントランスの局所リノベーションで集客を図ることが理想的なスキームだと。
まわりの言葉に惑わされることなく、経営に必要なリノベーション手段だけを見極めることが、先行きを読める大家さんの、現実的な選択だともいえるかも知れません。
インカム以外も楽しくて
カリスマ大家さんは不動産経営を人生のすべてとはとらえず、
人生のほんの一部分ととらえているようです。
だからなんにでも平等に前向き対応をしているようみ見えます。
リノベの打ち合わせも、インカムが達成できるのならあとはお任せ。てなことはありません。
デザインを楽しみ、リノベーションを楽しみ、そして自分の所有する建物に深い愛着を持つ。
それがカリスマ大家さんに共通しているように思えます。
すべての判断の基準に、自分が楽しめることなのか否か?という項目が加わっていることに、
成功の秘密が見えてきますね。
小寺 源太郎:インターデザイン主宰