インバウンドの需要をすくい取りたい
最近本当にインバウンドが増えています
近頃大阪の道頓堀などを歩くと、ものすごくたくさんの外国人観光客で賑わっていますよね。
特に平日の昼間は日本人が少なくなるので、外国人の割合がものすごく高くなります。
まるで自分自身が海外旅行に来たような、そんな錯覚に陥ることもあります。
ドラッグストアには中国の簡体漢字で「免税」とか書いてありますし
飲食店なども外国語のメニューが備えられていたりします。
そんな時にふと店員さんの日本語を聞くと「最近はどこでも日本語が通じるなあ」
なんて訳の分からない間違った感心をしたり。
特にここ三年ほどは大阪のアジア色が一気に濃くなったような気がします。
外国人観光客をあらわす「インバウンド」という言葉が定着しましたが
増えたなあというのは感じだけでなく、実際に数字でもものすごく増えています。
日本を訪れる外国人は、平成元年には年間300万人くらいでした。
それから緩やかに増えて、平成14年に初めて500万人を超えます。
そして平成25年には1000万人を超え、そこから一気に増えて平成30年は3000万人の大台を超えました。
そう、ここ5年で一気に三倍に増えてるんです。
それは道頓堀がアジアになるはずです。
そして彼らの平均滞在日数は、観光庁の発表によると9.1日なんだそうです。
ということは、3000万×9.1÷365で、常に75万人ほどのインバウンド様が国内にいらっしゃる、
ということですね。
鳥取県の人口が60万人といわれますから、一つの県よりも多いんです。
人口が減り続け、一方で新築マンションなど住宅の供給は続いています。
1988年には全国で400万戸弱だった空き屋が、2013年には800万戸を超え
今なおどんどん増えているといわれます。
これは人口の流出が続く地方だけではなくて、大阪や東京などの都市圏でもその傾向です。
空室が増えることが問題になっているいま、彼らインバウンドの皆様の需要を取り込むことが
これからの賃貸経営には大切だということを改めて考えなければなりません。
ただし文化や生活習慣の違う外国人に入居いただくことは、実際には様々なトラブルが心配されます。
当サイトでも以前、その問題について解説させていただきました。
賃貸物件の注目ターゲット!外国人入居者との上手な付き合い方
http://ishokujyu.net/detail/169
このトピックでは、実際に起こるかも知れない問題や対策などについてご紹介しましたが
今回はその後のインバウンドの動向と、これから先どのようになっていくことが予想されるのか。
特に大阪はこれからどうなのか、といった辺りを少し考えてみたいと思います。
大阪はこれからさらに賑わうと予想します
大阪はいま、府と市を挙げてカジノを含めたIRの誘致を目指していますが
そのパートナーとして一番有力な事業者が、ラスベガスに拠点を置いている
MGMリゾーツ・インターナショナルです。
同社のジム・ムーレンCEOのコメントが2019年10月25日付の東洋経済ONLINEで紹介されています。
それによると、大阪は奈良や京都といった魅力的なスポットに近く、関空・伊丹・神戸という三つの空港
神戸と大阪の港があって、鉄道網も発達しているので、空からも海からもアクセスが良い。
そういったことを評価されて、同社は大阪推しなんだそうです。
IRは国内に三カ所設置されることになっていますが、早くから自治体が熱心に誘致していて
2025年の万国博覧会開催に絡めて予定地も決まっている大阪はかなり有力だと思います。
いや、たぶん出来るでしょう。
大阪万博も大きな追い風になるかも知れません
外国人にとって大阪エリアが魅力的だということは、おそらく間違いありません。
USJや海遊館、大阪城、道頓堀、新世界というようなキャッチーなスポットに加えて
前回の万博の跡地にはエキスポシティが出来ています。
また万博公園内の国立民族学博物館は日本国内での知名度はそれほどではないようですが
実は国際的に見てもあまり例を見ない規模と内容を誇っていて
国外からわざわざ訪れる人も少なくない素晴らしい博物館です。
2020年は東京オリンピックでさらに大勢のインバウンドが日本を訪れることが予想されていますが
万国博覧会はオリンピックよりも期間が長く、延べの観客動員もさらに大きいです。
期間中の来場者は実に2800万人と予想されています。
また、新しい人や文化の発掘・創出などで、万博の効果は終了後も続くと言われています。
次に賑わうのはきっと大阪で間違いないんじゃないでしょうか。
長期滞在するインバウンドの需要を狙いたいですね
インバウンドの人数と共に大事なのは、滞在日数です。
滞在日数が増えるとその地域外、たとえば大阪だったら奈良、京都といった人気エリアだけでなく
兵庫や滋賀のような周辺地域にも足を伸ばす人が増えると言われています。
消費活動も活発になって、より広域に経済効果が期待できるということですね。
そのために大切なのはなんと言ってもリーズナブルな料金の宿泊施設でしょう。
2017年ですからちょっと古いデータですが、大和ハウス工業は2020年までにインバウンドを対象にした
ホテル仕様の賃貸マンションを全国で三千戸整備する、という記事がありました。
年間の営業日数180日まで、というような規制がある民泊ではなく
ホテルや簡易宿泊所の認可が通る仕様にするとのことです。
いろいろと条件はあるようですが、インバウンド向け賃貸住宅を考えていらっしゃる物件オーナーの
みなさんは、こういった宿泊施設としての認可を受けて、旅行者の需要をカバーする方向を
探ってみるのも良いかもしれません。
この先、さらに大勢のインバウンドが予測される大阪エリア。
空室に悩むオーナーさんは、その動向をキャッチするためにアンテナを張っておくとよいのでは
ないでしょうか。
著:おじま あきら