ご隠居さんがバイクを愉しむ時代

バイクなんて若者の乗り物だ、いいやバイクは大人の愉しみだ。いろんな意見はありますが、バイクが青春の象徴だった時代は以前確かにありました。
2013年に日本自動車工業会が調べたデータによると、国内の新車バイク購入者の平均年齢は51歳だったそうです。
人生50年なんていわれた時代には、もうリタイヤしている年頃です。
いつの間にかバイクは大人の乗り物どころか、ご隠居さんの乗り物になってしまっていたんです。
さらにこれは5年前のデータですから、いまはもっと上がっているかもしれません。
かつてバイクに乗っていて、結婚や子供の誕生を機に降りていた人。また、むかしバイクに憧れていた人などが、子育てを終えて人生一段落のタイミングで「そうだ、バイクに乗ろう!」となるのでしょう。
一度バイクに乗った人は、やめてもまたいつか乗りたくなるといいます。
やめられない、抗いがたい魅力があるのです。
乗ってなかったけれど憧れていた人も含め、潜在的なライダーの予備軍はきっと大勢居るのでしょう。

バイクの居場所は意外と少ない

そんな中高年リターンライダーの多くが直面するのが、バイクの置き場所問題です。
欲しいモデルは決まった、お金も用意した、さあバイクを買うぞ!あ、でもどこに置いとこうか…。
一戸建てに住んでる人だったら庭に入れるとか、カーポートの端とか、そう悩むことはないのですが、マンションなどの集合住宅だとこれがなかなか難しいのです。
たいていのマンションには四輪車の駐車場や自転車置き場、場合によってはミニバイクも止められる駐輪場などが整備されているのですが、大きなバイクが置けるスペースを確保しているところはあまりありません。
通路などの共用スペースに置くと苦情が出そうです。
エレベーターで持ち上げて部屋の中に入れてしまうという猛者も居ますが、これも共用部分の使用に関して果てしなくグレーです。
表の道路に止めておくのはいたずらや盗難、最近では駐車違反の切符を切られるなどのリスクも伴います。
そこまでいかなくても「知らない人にバイクを触られるのが嫌」ということもあります。
そんなバイクにまつわるニーズが高まりつつあるいま、バイクに乗る人をターゲットにした住まい、バイカーズマンションが人気です。

ライダーは秘密基地が好き

バイク好きの特徴のひとつとして「いじるのが好き」ということがあります。
バイクは四輪車より趣味性が高く、乗っている人もそれなりに愛車に対する思い入れがあって、構造をよく理解していることが多いのです。
なので簡単な整備は自分でするという人も少なくありません。
雨の日でも快適に、心置きなくバイクいじりができるスペース。
そんなガレージのある生活、ガレージライフはバイク乗りの夢だったりします。
特に男性は大人も子供も「秘密基地」が大好きです。
所ジョージさんのテレビ番組で「世田谷ベース」というのがありますが、あれなどはまさに男の夢そのものです。
そんな夢を現実的に叶えてくれるのがバイカーズ・マンションなのです。
そしてバイク乗りは比較的仲間意識が強いです。ただし、流派(?)があります。
バイクに乗らない人には全部一緒に見えるかもしれませんが、大雑把に分けてもアメリカン、ヨーロピアン、オフローダー、スクーター、さらに細かく分けるとホンダやカワサキといったメーカー別のファンも居ます。
例えば有名なハーレーなどはアメリカンですし、BMWやドゥカティはヨーロピアンです。
さらに乗り方のスタイルでもツーリング派、街乗り派、林道派、サーキット派、暴走族(?)など、本当にいろいろあります。
バイカーズマンションを企画するとしたら、例えば物件の名前や外観をアメリカンなものにするとか、シックなヨーロピアンスタイルにするとか、そういうキャラクター付けである程度入居する人々の方向性をコントロールすることで、入居者相互の良好な関係を醸成することもできるかもしれません。
まあ、たいていのバイク乗りはこれらの垣根を越えて仲が良いことが多いのですが、中でも暴走族・ヤンキー系だけは別です。
彼らはその他のバイク乗りと180度方向性が違います。
そして一般のバイク乗りはたいてい彼らを嫌います。
トラブルの元になりがちなので、注意が必要です。

バイカーズ・マンションという選択肢

バイク好きはたいてい乗り物好きで、機械好きが多いです。
カメラやオーディオが好きな人の割合も高いです。
概ね静かでマナーはよく、意外かもしれませんがロマンチストです。
バイク好き同志集まって、楽しく暮らせればいいなあなんて夢を持っている人も多いので、良好なコミュニティの形成など、いい雰囲気を作ることで住まいに関するトラブルも少なくなると思われます。
また、当然「バイク」という足がありますので、例えば駅から遠いなどの立地上の不利をあまり気にしない、むしろ幹線道路や高速道路へのアクセスがいいことの方が喜ばれるなど、一般の物件と違った方向で評価されることがあります。
「景色のいい峠道が近くにある」なんていうことが大きなセールスポイントになったりもするでしょう。
基本的には20代から30代の、アクティブに生活を楽しむ単身者が主なターゲットになると思われますが、50代以降の子育てを終えて経済的に余裕のできた中高年ライダーの「週末だけの秘密の部屋」というニーズも期待できます。
人生が長くなって、趣味や生活を楽しむことが大切になってくるこれからの時代。バイカーズ・マンションも有望な選択肢のひとつではないでしょうか。

著:おじま あきら

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