オーナーと借主のニーズに応える、新しい賃貸のカタチ

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ここ数年、賃貸不動産の世界では、新しい形の賃貸物件検索サイトが注目を集めています。
「直接募集」「直接契約」と呼ばれる方法を全面に押し出したサイトが、ここ数年のうちに複数登場し
ユーザーを増やし続けているのです。
 
「直接募集」「直接契約」とは、オーナーが自分で物件を検索サイトに登録して入居者を募集し、仲介業者を
挟まずに契約するというもの。
 
賃貸物件の借主との契約は、仲介業者に物件を預けて入居者募集から契約までの実務を任せる形が一般的です。しかしこの「昔ながらの当たり前」の方法では、仲介業者に払う仲介手数料や広告費用、家賃1〜2ヶ月分の礼金が発生し、これがオーナー側・借主側双方の負担となってきました。
仲介業者に掛かるコストを削減したいオーナーと、時には家賃の6ヶ月分にもなる初期費用をできるだけ抑えたい借主側。
「直接募集」「直接契約」が可能な物件紹介サイトは、こうした双方のニーズに応える、新たな賃貸プラットフォームとなっています。

「直接募集」できる物件検索サイトの使い方とポイント

どこでどうやって「直接募集」できる?

「賃貸 直接募集」または「直接契約」といったキーワードで検索してみましょう。
「大家さんと入居者が直接契約できる」とアピールするサイトを、検索結果から複数見付けることができます。
部屋探しをしている人の場合は、「賃貸 仲介手数料無料」「賃貸 初期費用 安い」などで検索して、こうした
サイトに辿り着く人が多いようです。
賃貸オーナーとしてサイトに登録し、入居者を募集したい物件の情報をフォーマットに入力して物件情報を
公開する、というのが基本的な使い方となっています。

間取図や写真はどうやって準備すれば良い?

仲介業者を利用している場合だと、物件の間取図作成や写真撮影も仲介業者が行うことが大半ですが、直接募集の場合は当然用意してもらうことはできません。過去に仲介業者が用意した間取図や写真があっても、許可なく使用するのはNG。
オーナー自身で作成と撮影を行うか、または外注することになります。間取図作成代行サービスの紹介や写真撮影の請け負いを行なっているサイトもあるので、自分で用意するスキルや外注のあてがないならぜひ利用しましょう。

広告や案内、契約など、仲介業者が担っていた業務はどうなる?

通常賃貸仲介業者に任せているこれらの業務は、直接募集の検索サイト経由で付いた借主の場合、オーナーが
自分で行なったり、手配したりすることになります。
自主管理ではなく管理会社を利用しているなら、管理会社に委託しても良いでしょう。

料金はいくらかかる?

料金制度はサイトによってさまざまです。
掲載件数ごとに月額料金プランが違うタイプ、件数に関係なく月額料金が決まっているタイプ、登録や掲載は
何件でも無料で、成約時にのみ料金が発生するタイプなど。月額料金の負担は、高くても4000円程度です。
無料キャンペーン中のサイトや、1ヶ月程度の無料提供期間付きのサイトもあります。
一切料金がかからないサイトもありますが、有料のサイトと比べると、やはりオーナーへのフォローやサイトの使いやすさに差があります。

仲介業者に預けている物件でも掲載できる?

専属専任媒介の物件では直接契約はできません。
一般媒介と専任媒介では仲介業者との併用が可能ですが、トラブルを避けるためサイト側と仲介業者への確認をおすすめします。

「直接募集」「直接契約」のメリットとデメリット

6つのメリット

①仲介業者に掛かる費用の負担が抑えられる。
②抑えた費用の分、管理費や設備費に回したり、契約時の借主の負担額を減らしたりなど、客引きに繋げられる。
③借主が業者に払う礼金や仲介手数料が抑えられるので、借主の負担が軽くなり契約してもらいやすい。
④借主と契約前に話し合えるので、入居後のトラブルを避けることができる。
⑤家賃の安い物件や訳あり物件でも、仲介業者の都合で検索サイトに掲載してもらえないということがなくなる。
⑥物件を一番良く知るオーナー自身で検索サイトに登録するので、物件のアピール内容が的確になる。

3つのデメリット

①兼業オーナーや遠方の物件を所有している場合だと、案内や問い合わせへの対応が難しい。
②契約書類などもオーナー自身で用意することになるので、知識のない人は勉強する必要がある。
③従来仲介業者が担っていた諸々の作業を自分で対処するので、手間が増えるほか外注のための費用が掛かる可能性がある。

業務量増大でもメリット充分の「直接募集」

「直接募集」では、コストカットできるかわりに、オーナーが対処すべき事柄が大幅に増えます。
現状では各サイトのフォロー体制やサービス内容にかなり差があるので、サイトのサービス範囲と自分でできる実務の範囲を考えて、利用するサイトを選んで下さい。
 
これまで「直接募集」を行ったオーナーの多くが、契約までのスピードアップと入居率のアップを実感しています。
物件登録の準備から借主との契約まで、業務の流れを整えるまでは大変かもしれませんが、メリットの大きさを考えると踏み出す価値は充分あります。ぜひ検討してみましょう。
 
著:猫野 千秋